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相続登記をする際に必要な費用

カテゴリ: その他

 

 以前、相続登記の手続について解説しました。では、相続登記をする場合、どのような費用がかかるのでしょうか。今回は相続登記をする際に、一般的に必要となる費用について解説します。

 

1 必要書類の取得費用

 

(1)戸籍・住民票の収集

  不動産の相続登記を申請する場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人の現在戸籍が必要となります。2024年3月時点で戸籍謄本は1通あたり450円、除籍謄本と改正腹戸籍は1通あたり750円の手数料がかかります。また、戸籍のほかに、不動産を取得する相続人の住民票も必要になります。住民票は各自治体によって手数料の金額が異なりますが、おおよそ200円~300円程度となっています。

 

(2)印鑑証明書の取得

  遺産分割協議を行い、同協議に基づいて不動産の相続登記を申請する場合、遺産分割協議書とともに相続人全員の印鑑証明書も、法務局に提出する必要があります。印鑑証明書についても各自治体ごとに手数料が異なりますが、おおよそ200円~300円程度となっています。

 

2 相続登記の登録免許税

 相続登記をする場合、国に対して登録免許税という税金を納めなければなりません。登録免許税は、相続する不動産の固定資産税評価額に税率0.4%を乗じて求めることが出来ます。例えば、固定資産税評価額が1000万円の不動産の相続登記を申請する場合、1000万円に0.4%を乗じた4万円の登録免許税を納付する必要があります。不動産の固定資産税評価額を基に登録免許税を計算しますので、固定資産税評価額が高くなればなるほど、登録免許税も高くなることに注意が必要です。

 

3 専門家に相続登記を依頼する場合の報酬

 弁護士や司法書士といった専門家に対して、相続登記の申請を行う場合、同専門家に対する報酬も別途必要になります。弁護士も司法書士も、現在で報酬額は自由化されており、統一した報酬基準というものはありません。報酬の大体の目安ですが、概ね5万円~10万円程度になることが一般的です。

相続放棄のメリット・デメリット

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以前、相続放棄について、相続放棄の期間について解説しましたが、相続放棄をするべきと、するべきでない場合とはどのような場面でしょうか。今回は相続放棄のメリットとデメリットそれぞれについて解説します。

 

1 相続放棄のメリット

 相続放棄のメリットとしては、被相続人の負債を承継しなくても良いことにあります。相続放棄を行うと相続放棄をした人は初めから相続人ではなかったものとみなされます(民法第939条)。そのため、脾臓族人に借金があったとしても、相続放棄をすれば借金を承継しなくても良いことになります。また、被相続人が不動産を所有しており、その不動産の管理に費用が掛かってしまう場合も、相続放棄をすればその不動産を承継しなくて良いことになります。ただし、相続放棄をした人が、相続財産を占有していた場合には、相続財産管理人に引継ぎまでは一定程度の保存義務を負担することになっています(民法第940条第1項)。

 

2 相続放棄のデメリット

 相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産もともに相続することを否定するものであるので、相続放棄をしてしまうとプラスの財産を承継することができません。

 また、相続税との関係では、相続放棄をした人は、生命保険金や死亡退職金についての非課税枠(500万円×法定相続人の人数)の適用を受けることができなくなります。また、相続放棄をした人は、債務控除や数次相続控除も受けることができなくなりますので、注意が必要です。

 

 このように相続放棄にはメリットだけでなく、デメリットもありますので、相続放棄を希望する場合には弁護士に相談することをお勧めします。

遺言執行者

カテゴリ: その他

 

遺言作成の際のポイントの記事を書いた際に、遺言執行者について触れたのですが、遺言執行者とは誰がどのようになるのでしょう。今日は遺言執行者に焦点を当てて解説します。

 

1 遺言執行者の資格要件

 民法上では、未成年者と破産者も遺言執行者になることはできないとされています(民法1009条)。

遺言執行者は遺言者の財産を管理する権利・義務を有しますので、遺言執行者となる人には、完全な行為能力(単独で確定的に有効な法律行為をする能力をいいます)が求められていますが、その以外には特に明文上の制限はありません。遺言執行者には、法人もなることができますし、相続人や受遺者がなることもできます。

2 遺言による指定

 遺言者が遺言執行者を指定する場合には、必ず遺言によらなければなりません。遺言で遺言執行者を定める場合、遺言者が直接遺言執行者を指定することは勿論、遺言執行者の指定を第三者に委託するという定め方もできます(民法1006条1項・2項)

 

3 家庭裁判所による選任

 遺言書に遺言執行者が定められていない場合や遺言執行者が定められていたものの遺言執行者が死亡した場合等には、利害関係人が請求することにより、相続開始時の家庭裁判所が遺言執行者を定めることとなります。

 遺言執行者の選任の申立があった場合、家庭裁判所は、候補者について、欠格事由の有無、適格性、就職の意向などを審理することとなります。家庭裁判所が選任の審判をするには、候補者の意見を聴かなければならないとされており、実務上は家庭裁判所から照会書が遺言執行者の候補者と申立人に対して送られる運用が採られています。

 家庭裁判所による候補者の適否についての検討が完了すると、遺言執行者選任審判がなされます。遺言執行者選任の申し立てを認容する審判の場合には、申立人および遺言執行者に対して審判書の謄本が送付されます。一方で、申立を却下する審判の場合には、申立人に対する送達の方法により告知されることになります。この申立を却下した審判に対しては、申立人その他の利害関係人から即時抗告の申立をすることができます。

 

遺言執行者とはなかなか普段聞きなれない言葉だと思います。遺言執行者の件も含め、遺言のことでお悩みでしたら弁護士にご相談下さい。

再転相続

カテゴリ: その他

 

以前、相続放棄についての記事を書きましたが、今回は少し変わった相続放棄の期間について解説します。

 

1再転相続とは

 再転相続(さいてんそうぞく)とは、ある相続(一次相続)の相続人が熟慮期間中に相続の放棄または承認をする前に死亡(二次相続)した場合に、二次相続の相続人が一次相続の相続をすることをいいます。

 

2再転相続放棄の期間

 再転相続が生じた場合、相続放棄の期間はいつから起算されるのでしょうか。まず、二次相続については、条文通り、二次相続が開始されたことを知ってから3カ月以内に相続放棄すればよいことになります。それでは、1次相続については、いつから起算されるのでしょうか。再転相続人が、二次相続については知ったものの、一次被相続人の死亡を知らなかった場合に問題となります。この点について、令和元年8月9日の最高裁では、「一次相続の相続人となったことを知ってから3カ月以内」としました。

 このように相続放棄の期間の手続や期間の解釈については、一見分かりにくい部分もありますので、相続放棄を検討される場合には弁護士に相談されることをお勧めします。

遺言を発見した場合の対応方法

カテゴリ: その他

前回遺言作成のポイントについて解説しましたが、今回は自宅等で遺言を発見したときの対応について解説します。

 

1 遺言の検認手続

 遺言書を発見した場合、遺言書を開封してはいけません。遺言書を発見した場合、家庭裁判所の「検認」手続をとる必要があります。「検認」とは、相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。民法上、遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人は、相続開始を知った後、遅滞なく、遺言書を家庭裁判所に提出して、検認を請求しなければならないとの規定があります(民法第1004条)。この検認手続きをしないで遺言書を開封してしまった場合、5万円以下の過料に処されるので注意が必要です(民法第1005条)。

遺言書には、①自筆証書遺言、②秘密証書遺言、③公正証書遺言の3種類がありますが、このうち検認手続が必要となるのは、①自筆証書遺言と②秘密証書遺言となります。また、①の場合であっても、遺言書の法務局保管制度を利用したときには、家庭裁判所に対して検認の届出は不要です。

 

2 検認の手続

 遺言の保管者、もしくは発見者が、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ検認の申し立てを行います。検認の申し立てがあると、相続人に対して、家庭裁判所から検認を行う期日の通知がなされます。検認期日の当日は、出席した相続人等の立ち会いの下、裁判官が遺言書を開封し、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など遺言書の状態や遺言書の内容を検認します。検認が終わった後、家庭裁判所に対して申請すると検認済証明書は発行されます。遺言の執行を行う場合には、この検認済証明書が必要となります。留意点としては、検認手続はあくまでも、遺言書の状態を確認する手続ですので、検認手続では遺言書の有効・無効を判断されるわけではありません。

 

遺言書の有効性を判断するためには法解釈の専門家である弁護士に遺言内容の確認を依頼することをお勧めします。

遺言作成の際のポイント②

カテゴリ: 相続

前回に続き、遺言作成の際のポイントについて解説します。

 

1 遺言執行者の指定

 遺言執行者とは、遺言内容を実現するための手続を行う人のことをいいます。遺言を作成するうえで、遺言執行者の指定は遺言の要件となっていません。しかし、相続間で対立が生じている場合、遺言を遺したとしても遺言内容を誰が執行するかをめぐって争いになる可能性があります。せっかく遺言書を作成しても、遺言の内容が実現されないのでは所謂絵に描いた餅となってしまいます。相続人間での対立が予想され、遺言内容の実現に不安を覚えられる場合には、あらかじめ遺言執行者を定めておくことをお勧めします。

 

2 付言事項

 付言事項とは、遺言書において法的効果が与えられない記載事項のことを言います。遺言者の生前の気持ちや家族への感謝のメッセージのほか、遺言書で定めた事項についてなぜそのような記載をしたのか理由を書く場合もあります。付言事項には法的効力が与えられるものではないのですが、付言事項を書くことによって遺言者の真意を相続人により伝えやすくすることができ、場合によっては相続人間の対立を和らげて相続発生後の相続人間のトラブルを防止することができます。

 

遺言作成にもいろいろな知識が必要になり、奥が深いです。遺言を作成される際には、弁護士にご相談ください。

遺言作成の際のポイント①

カテゴリ: 相続

 

東京での弁護士業務を行う中で、遺言作成のご相談を受けることは良くあります。

遺言を作成するにあたっては、遺言書を作成する際のポイントを押さえることで相続発生後に相続人同士が揉めることを回避できる可能性は高くなります。今日は遺言作成のポイントについて解説します。

 

1 遺留分

 遺言を作成する際には、遺留分を考えながら作成することが大事です。

 遺留分とは、相続人(兄弟姉妹は除く)の一部に認められた遺産に対する権利のことをいいます。遺言者が遺言書において、遺産を特定の相続人に相続させた場合でも、当該遺言書に従った相続を行うことで別の相続人の遺留分が侵害される場合には、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額に相当する金額の支払いを請求することができます(民法第1046条第1項)。遺留分の計算の仕方ですが、遺留分権利者全体の遺留分の割合というのは、民法で決まっています。直系尊属人のみが相続人である場合には遺産全体に対する3分の1、それ以外の場合には2分の1となっています。この遺留分権利者全体の遺留分の割合に各相続人の法定相続分を乗じることで、各相続人の遺留分割合を算出することができます。遺言を作成する場合には、できるだけ各相続人の遺留分を侵害しないように配慮する必要があります。遺言者が、一方の相続人の遺留分に配慮せず、他方の相続人にのみ遺産を相続させてしまうと、相続発生後に遺留分をめぐって相続人間でトラブルが生じる火種となりますので注意が必要です。

 

続きは次回解説します。

 

相続登記

カテゴリ: 相続

 

弁護士業務で遺産分割協議を受任する際に、相続登記の申請も併せて受任することがあります。今回は相続登記申請の手続について解説します。

 

1 対象不動産の取得者を決める

 まず、相続登記の対象となる不動産を誰が取得するのか決める必要があります。遺言がある場合には、遺言で不動産を相続させると記載されている相続人が不動産を承継します。遺言がない場合には、相続人全員で、だれが対象不動産を相続するのか遺産分割協議で決め、遺産分割協議書に相続人全員が署名・捺印する必要があります。相続人間で遺産分割の方法について争いがなければスムーズに遺産分割協議書を作成できますが、争いがある場合には遺産分割協議書の作成の段階で時間がかかることがあります。

 

2 相続登記に必要な書類の収集

 相続登記を法務局に申請するためには、申請のために必要な以下の書類を集める必要があります。

(1)戸籍謄本

  被相続人と出生から死亡までの戸籍謄本が必要となります。まずは、被相続人の死亡時の戸籍謄本を取得し、その謄本から一つ前の謄本を遡って取得していくことになります。また、相続人全員の戸籍謄本も必要となります。相続人が大勢いる場合や、被相続人の本籍地が何度も変わっているような場合には、戸籍の収集に時間がかかることがありますので注意が必要です。

(2)被相続人の住民票の除票および相続人の住民票

  被相続人の住民票の除票は、被相続人が最後の住所地の役所で取得することができます。相続人の住民票は、各相続人の住所地の役所で取得します。

(2)固定資産税評価証明書

  固定資産税評価証明書は、登記を申請する際の登録免許税を計算するために必要な書類となります。不動産がある場所の役所で取得することができます。

(3)印鑑証明書

  遺産分割協議書を作成した場合には、遺産分割協議書に押印した印鑑の印鑑証明書も必要です。印鑑証明書は、住所地の役所で取得することができます。なお、相続登記申請のための印鑑証明書については、有効期限の定めは特にありません。

 

3 法務局への申請

 上記の書類を揃えたら登記申請書を作成して、上記書類とともに登記申請書を法務局に提出します。法務局に登記申請をしてから1~2週間程度で相続登記は完了することとなります。

 

 

 

敷地利用権

カテゴリ: その他

以前、マンションの敷地について解説しましたが、マンションの敷地を利用する権利というものがあります。マンションの敷地を利用する権利のことを敷地利用権と言います。今日は、敷地利用権について解説します。

 

1 敷地利用権とは

敷地利用権とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利のことを言います。敷地上にあるマンションを所有するにも、何かしらの権利が必要です。そのため、敷地を利用することができる何らかの権利があってはじめて、マンションを区分所有することができるのです。

 

2 敷地利用権の種類

では、「敷地を利用することができる何らかの権利」とはどういったものを指すのでしょうか。敷地利用権となり得るのは、所有権に限られず、地上権、賃借権、使用貸借権も含まれます。良く見られるのは、敷地利用権が所有権のマンションですが、敷地利用権が借地権というマンションも見かけることがあります。

 

3 敷地権

 敷地利用権と似た言葉に、敷地権という権利があります。敷地権とは、敷地利用権のうち登記された権利であって、専有部分と分離処分することができないものを指します。敷地権というためには、登記できることが必要ですので、使用貸借権は敷地利用権には含まれますが、登記をすることが出来ないので敷地権にはなり得ないことになります。

 敷地権は、建物登記記録にも土地の登記記録にも記載されることになりますが、土地について敷地権である旨の登記は申請する必要はなく、登記官が職権で登記を行います。

 

弁護士業務を行っている中で、マンションの不動産登記を見ることが多いですが、その際に敷地権という言葉は良く目にします。敷地権についても言葉の意味を知っていると不動産関係の資料を読むときの理解が深まります。

買付申込書の読み方

カテゴリ: その他

 

弁護士業務や税理士業務をする中で、不動産の買付申込書を見る機会は良くあります。買付申込書はどうしても、値段だけに目が行きがちですが、色々と見るべき箇所があります。今日は、買付申込書の見るべきポイントについて書いていきます。

 

1 買付価格

 まず、目が行くのは、やはり値段ですよね。価格をみる際に、特に売主が消費税を納める必要がある場合には、その価格が税込価格か税抜価格であるかは確認しましょう。また、土地には消費税はかかりませんが、建物には消費税が課税されますので、土地と建物比率はどれくらいかについてもチェックするべきポイントです。

 

2 買付申込者と購入目的

 買付申込者が、どういう属性なのかは確認するべきです。いかに買付価格が良くても。買付申込者の信用が無い場合には、売買がきちんとできるか不安があります。また、買付申込者がどのような目的で購入を予定するかも確認しておきましょう。売却後に、売主が希望しない人に転売されたり、希望しない建物が建てられる(火葬場、工場など)可能性もありますので、購入目的も見ておくべきかと思います。

 

3 購入条件

 購入条件も確認しましょう。例えば、一見価格は高そうに見えても、購入条件として売主が解体や修繕をすることが付されている場合、解体費や修繕費が高いと、売主にとっては不利になる場合もあります。買付申込書を比較する際には、条件面についても考慮しながら判断しましょう。

 

東京では、まだまだ不動産価格は高いようで、不動産売却ニーズは多くあるかと思います。不動産の売却を希望する際に、買付申込書が提出された場合には、上記のポイントも踏まえて判断してみましょう。

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